逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

独身弱者男性が全集中して編み出した、人間の無意識にあるもの全てを顕在化する技を伝授します。

究極の経済的合理性を実現しているパノプティコン建築が令和の日本にもある!

最近、渋谷が人気ない、みたいなニュースを見かけた。
座るスペースがない、滞留することができないのが、原因らしい。

渋谷の地べたにたむろしていた若者はどこに消えた…若者を渋谷から遠ざけた「元凶」(谷頭 和希) | マネー現代 | 講談社

gendai.media

これを見ると、2003年から2005年を境に、一気に下火になっていることがわかる。つまり、この頃に路上からジベタリアンが姿を消したのだ。おそらくこの背景には、2000年代以降の「街の管理」強化がある。例えば、「排除アート」と呼ばれる、人が滞留できないよう設置された街角のオブジェなどがその例だ。

渋谷の井の頭線高架下広場の奇妙な突起物は、その一例といえる。監視カメラの増加もこの頃から起こっている(特に2001年の池田小事件が契機だともいわれている)。

建築史家の五十嵐太郎氏は、こうした都市の在り方を「過防備都市」と名付け、2004年にこれらを論じた著書を出版している。

排除アートとか排除ベンチね。

SNSで広がった「意地悪ベンチ」論争 排除の対象はホームレス?酔っぱらい?それとも…:東京新聞 TOKYO Web

www.tokyo-np.co.jp 終電をなくすなどした人たちが公園で夜間から早朝にかけて酒盛りをしたり、大きな声で騒いだりする状況があるとし、背もたれがないアーチの形状にしたのは「苦肉の策」という。「酔っぱらいが寝たり、たくさんお酒を並べたりできない工夫で、長時間滞留を抑止するため」と話す。 

まあでもこれは、渋谷とか新宿とかの大都会だけでなくて。
伊勢崎市にもあったし。

gyakutorajiro.com

船橋市にもたくさん、あるんだよ。

gyakutorajiro.com金を払わない人間には、座ることも許されない残酷な資本主義。

それだけじゃない。

金を払ったとしても、金額が少ない場合、酷い待遇をされるケースも多々ある。
それを実感したのが、東海地方のとあるホテルに泊まった時だ。

今までの人生で泊まった、1万円以下のホテルでおそらく…。
まあ厳しい意見になってしまうので、ホテル名は伏せておく。

外観が可愛いホテルで、値段も7650円、楽天ポイント10倍で実質6000円台後半ぐらいだったから、泊まってみたんだが。

本当にひどい…泣けてくる。
まず第一に、狭い。

大阪の西成で20代の時に泊まった、1500円とか2000円の3畳の安宿よりは広いけど。テーブルがものすごく小さい…持参しているノートパソコンは置けるけど。
そもそも椅子がない。

「はぁ?椅子ないのにテーブルだけあっても仕事とかできないじゃん?」と思って、フロントに電話。

「すみません、椅子はありませんか?」
「はい、2階の自動販売機の後ろに用意しております。」
「背もたれはついてますか?」
「申し訳ございません、ついていません」


だって。背もたれないなんて、背中が丸まったり腰によくない…仕事なんて出来るかよ。
まあでも探しに行こう。

あった…なぬ、背もたれ、付いてるか。

パイプ椅子だろ、これ…。
こんな椅子で、狭い部屋で、仕事は…ラウンジとかで仕事しようかな。

前に泊まった大阪の「ホテル中央ブリッジ」、ここはコスパがよかったし、1階にコワーキングスペースみたいなのがあった。

1泊3000円台で宿泊!大阪西成の「ホテル中央ブリッジ」はコスパよし清潔感よしのおすすめホテル

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このホテルにはあるだろうか。

「ラウンジはありますか?」
「すみません、ラウンジはありません」
「2階のレストラン朝食は9時までだと思います。朝食後に開放されたりしないのですか?」
「すみませんが、朝食後の開放などはしておりません」


だって。つまりこのホテルは、小休止できるスペースが部屋しかない。いや1階にはフロントとロビーはあるけどさ。
こんな椅子のない部屋で、ビジネス利用なんて出来ない。
11時チェックアウトのレイトチェックアウトプランにしたけど、これだと意味ねえじゃん…。

失意の中、館内を歩く。
フロアの構成にも驚いた。
4階のフロアマップを見ればわかるように。

1フロアに部屋がなんと…46部屋!?あり得ないだろ。
ちょっと前に実家のばあさんが入院している病院も小さかったけど、1フロアに46部屋なんてなかったぞ。

5階はもう少し、ゆとりあったりして。
5階に行ってみよう。

同じかい…。

しかも図の401~408、501~508からうかがえるように。
そのフロアのうち8部屋は、おそらく窓が無い。
他の部屋に囲まれた、内側に部屋がある。
おそらく、光が入ってこないんだ。

自分は窓がある部屋だった。
ただ、窓があるといっても、見える景色はビルだけどよ。

10階とかもそうだった。
ただ、46部屋ではなく45部屋、少し広い?

レストランがある2階にも、部屋はびっちり。

3階も、4階や5階と同じく46部屋か。

商魂たくましいというか、もはや品性すら疑うフロア構成だ。
1部屋1部屋を狭くし、フロアの内側まで部屋を用意し、狭いスペースにぎゅうぎゅうに人を詰め込む。
空間的快適性よりも、経済的合理性を最大化した印象がある。

ふと昔読んだ漫画、賭博破戒録カイジに出てくる五段ベッドを、思い出した。

けど、ここは地下施設でも収容所でもない…ホテルだぞ…。
このフロア図は、まるで。
ミシェルフーコー「監獄の誕生」で出てくる、パノプティコン(中央の高い監視塔から監獄のすべての部分が見えるように造られた円形の刑務所施設)の図にそっくり。

そして、コインランドリーだ。
出張中だったから、服の洗濯をしたかったんだが。

1フロアに46部屋もある構成のホテルにも関わらず、コインランドリーはたった3台しかないようだ。

また、深夜は閉鎖されてる。
泊まった日の夜は、3台とも利用済みで、洗濯できなかった。

朝、6時過ぎに早起きして、なんとか1つ空いてたから利用できたけど。
設備として足りてない。

服どうしよう…って、なったよ。
朝食は部屋のガウン、禁止だったからな。
「コインランドリーが少なくて、昨日、服洗えなかったのに…朝食行きたいのに…( ;∀;)」
結局、洗濯が終わってから、メシに行った。

部屋の設備の話に戻るか。
トイレと風呂は一緒、ユニットバスだ。

まあここは少々はいい。
前日、泊まったスーパーホテルとかより狭いけど、自分の家の風呂と同じぐらいだから慣れる。

と思ったけど、前言撤回。

トイレのタンクの上にドライヤーが置いてあり、その上に貼っているシールに。
「ゲストと一緒に地域の未来を考える活動に取り組みます」とか、地球環境に配慮するの標語が書かれていた。
そしてなんと、その下には「ごみ削減のため、次回Myアメニティをご利用ください。」だと?

なんだそれ。
ただコスト削減、設備投資を減らしたい、金儲けのためだろうが。
野暮だろうが。てめーらのホテル内で、SDGsの取り組みを考えろ。

SDGsの旗印のもとなら、何やってもいいわけじゃないだろうよ。
環境保護は大切だけど、いちいち客に押し付けるんじゃねえ。
旅行中なんだしよ。

偽善者め…どちらかというとホテルの経費削減、私利私欲の方が比重が大きい。
そのMYアメニティの奨励はよ…純粋な善意の中に、醜い商魂という不純物が見え隠れする…。
次回なんて、あるかよ!?

「ヴィアイン名古屋」に泊まった時も、似たようなことあったけどね。
まあヴィアインはコスパもそこそこで、部屋に椅子もあったから不満は湧かなかったけど。

環境保護を理由にホスピタリティを軽んじてもいいのか?

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そして、このレビューをホテルの部屋で書いていた時。
なぜか、首筋が寒い。
訪れたのは3月中旬だったけど。
暖房はつけているのに…換気装置(AIR CONDITIONER)が「OFF」「H」「M」「L」のつまみを回すやつで、細かい温度調整ができないせいだろう。

また、先に述べたように、
椅子があまりいいものではないので。
ベッドの壁を背もたれ代わりに、枕にノートパソコンを置いて、長くパソコン作業してしまったからかもな。

3000円台までなら許せる。
だけど7650円でこの宿か…。
楽天ポイント10倍プランだったが、しかし、二度と泊まりたくないと思ったね。

まあでも疲れていたから、一応、寝れることは寝れた。

7650円のプランには、1375円相当の和洋食ビュッフェが付いていた。

朝飯は、美味しかった!

料理が得意そうなおばちゃん達がいた、よかった。

それがせめてもの、救いだね…。

美味しい。

ごちそうさまでした。
ドリンクを入れて、部屋に持ち帰ろう。

部屋に戻り、食後の歯磨きだ。
硬い歯ブラシで歯を磨く。

軽く血が出た。

ベッドの上の空間を無理矢理、利用して配置した、テレビを観る。

一風堂ねぇ。

ビジネスレザーファクトリー、か。

いいなぁ、娘からこんなメッセージ付きの革財布とかもらってみたいよ。
子どもさえいないけれど…。

生まれた時や、若い時は。
可能性に満ちあふれていて、大きな円形のドームにいるような解放感があって、ワクワクしながら日々を過ごしていた日もあったけれど。

年を経るごとに、自分の将来や、限界を悟って、ドームは区画整理されてしまって。
このパノプティコン建築の部屋のように。
10分の1、20分の1、30分の1、46分の1…と、どんどん可能性が狭まっていく。

ああ自分の人生、だいぶ狭くなってしまったな。
もっと広い部屋に居た頃に、戻りたいなぁ。