逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

独身弱者男性が全集中して編み出した、人間の無意識にあるもの全てを顕在化する技を伝授します。

アメトーク「上島竜兵 祝・還暦SP」を観た一視聴者が感じた危険な兆候

昨日、上島竜兵の芸がもたらす「緩和」について語った。
そして「緊張」をもたらす存在についても語ったが。「緩和をもたらしているようで、緊張をもたらす」存在については、語ってない。
その存在は、人間に資本主義的無意識を形成させるんだけど。
今日はその話は置いといて、まだ上島竜兵の話がしたくなった。
こんな記事を見かけたからよ。
studynews.jp確かに、「いじめ」と「イジリ」(いじられ)の境界は曖昧だったりするからな。俺もいじめられっ子だったけど、やってる側は「イジリ」だと思ってたのかもしれない。
そんな記事を読んでから、アメトーク上島竜兵還暦SPを見た。

www.tv-asahi.co.jpみんな、上島竜兵に冗談でイジっているような感じだった。だけど、上島竜兵の反応がおかしい。死んでしまったから偏見の目で見てしまうのか。

いやでも、何か言動がスムーズでなかったり、ボケなのかリアルなのかわからないような発言があったり。何かおぞましいものを観てしまったような感覚を抱いた。
そのおかしいと思った点を、時系列にまとめておく。

(1)異常に緊張している

「電話に出ないんですよ」と、有吉が電話に出てくれないことを少し物悲しそうに語っていると。しかし有吉の結婚報告で声を聴いた時に「嬉しくなっちゃって」と語る。

蛍原:「なんででえへんねん、って言うたらいいんですよ」
上島:「そんなのもう、何度もやってきてんですよ・・・」

言葉が詰まる。「ちょっと待って」と。
「緊張しすぎ」と、皆に突っ込まれる。

(2)やたら人と比較して自分を相対化する

上島:左見たら、有吉、土田、劇団いるし。右見たら、ホトちゃんとサッシーいるし。目の前いたらカジさん?いるし…俺、過呼吸になるわ。
有吉:テレビで観る人ばっかりですもんね。
上島:テレビで観る人・・・うるせえな!

このシーンも、有吉は含みを持たせていったような感じだったか、直接的には言ってない。言われてはいないが、自分の方は「テレビで観ない人」と言われたと捉え、立ち上がって有吉に怒る仕草をする。

これは芸人としてのプロ意識ゆえに、条件反射としてやってしまうんだろうな。
何でもない発言を「ネタフリ」に変換し、ボケにして返す。
だから些細な発言も、「自分への悪口」に変換してネタフリとして利用し、ボケとして返さないといけない。

結構、大変なことでもあるかもしれない。
「怒るボケ」を相手に返すためには、あらゆる発言を「自分へのネガティブな情報」に変換しないとネタフリに出来ない。
これを仕事と割り切れていたのなら、問題ないけど。
その自分へのネガティブ情報にするネタフリ変換は、蓄積するとキツイのかな。
いやそれは、プロである上島竜兵を甘く見過ぎな気もするけど。

しかし前半の、やたら人と比較して相対化するのは、よくないな。
有吉、土田、劇団、ホトちゃん、サッシーに緊張し、過呼吸になると言ってしまうのは。
自分よりも売れていて上だと感じいる、劣等感を覚えているからかもしれない。
相対化がネガティブに機能している。

自分よりも下だと思える存在や、自分よりも悲惨な状況と比較するシャーデンフロイデ等のルサンチマンの実践は、精神を安定させる作用がある場合もあるが。

劣等感を覚えている存在と比較すると、自尊心に影響が及ぶ。

(3)ストイックさと低い自己評価

有吉:最初からやり直す
上島:どこが悪いか言ってみろよ!
有吉:全部だよ(笑)

フィードバックを強く求める。向上心が強いのはいいことだけど、ストイックすぎる気もする。
「まあいいや」の領域が狭い人なのかもしれない。


また、還暦祝いの「寿」の扇子が床に落ち、それを使った物ボケを求められた際。

上島:「盛り上がると思ったらそうでもなかったよ、チキショー!」

と、小梅太夫風に物ボケ。
悪くないのに、一連のオープニングのやり取りを悪く評価してしまう。

Zoomの話に及んだ際、「週3でZoomをやる」という話をしていたはずなのに、「西堀もNGで」と、矛盾する話をしてしまった。

「ごめんなさい、中途半端になって」「一番やっちゃいけないことだ」と、収録中なのに反省、悲しい顔をしていた。

(4)吃音・無言

噛んだり、言葉が出なかったり。

蛍原:竜兵さん自分でやることってないんですか?
上島:違います。僕はもう人任せで、人のふんどしで顔を洗ってふき×△?◎…ちょっと待って、やり直した方が。

別のやり取り、土田に、

土田:こんだけ芸歴あっても、全然、うまくならない。

と、いじられた際。
苦しそうなしかめっ面をしていた。
何か言いたいけど言えない、苦悶に満ちたしかめっ面だった。
緊張病の「無言症」ってやつなのだろうか。

nagoyasakae-hidamarikokoro.or.jp有吉に、

有吉:これぐらいのモンですよね!

とイジられた際も、「おい!」と反応してしかめっ面になったが、そこから言葉が出てなかった。

(5)高すぎる目標や理想

有吉:テレビ業界ってすごい60歳とか70歳を観てるから変なんですけど。普通の60歳って、こんなモンですよ。
上島:ちがう。お前はなぁ、言うこと1個1個が傷つくんだよ!後から来るんだよ。人の傷口に塩塗ってんだ、お前は!

「普通の60歳」ではないと思いたい。
単にネタフリにして、キレ芸のボケにして返しただけかもだけど。
やっぱり芸人として、もっと上に行きたいってのがあるのかもしれないね。

でも「あの時、こういうリアクションがよかったんじゃないか」「あのとき、ああいう風にできたんじゃないか」「あの司会者がこういう風に言ってくれたらこう展開できたのにな」と、かなり反省する人でもあったようだ。
それゆえ、自分に厳しすぎるがゆえに、低い自己評価をしてしまって自尊心を傷つけていたかもしれない。

(6)幻聴・被害妄想

「自分を責め立てる声」のようなものが、聞こえていたのだろうか。
それを彷彿させるようなエピソードが出て、ゾッとした。

俺がつまんない事 言ったって…。

なんだよ もう。 誰だ?
「なんだよ もう」っつったの。

お前だよ!
俺か。

(有吉)お前が言ったんだよ!
お前が…!

なんだよ もう。 誰だ?
「なんだよ もう」っつったの。

(有吉)お前が言ったんだよ…。
(土田)自分で言った事が

幻聴のように聞こえる…。
(ひとり)どういう事ですか?

自分で言った事を…!
(土田)「誰が言ったんだよ」って…。

もう ダメです。 もう ダメです。
https://dnptxt.com/television-show/variety/post-9969/

そしてもう1つ、劇団ひとりの家にいった時のエピソード。
これを語る竜ちゃん、ヤバかったな。

上島:・・・焼酎出してくれて。いろんな料理出してくれて。アジの美味しいお茶漬けがあるって、それを勧めてくる。召し上がりますかって。いやまだ飲んでる際中だから。でもまた10分ぐらい経ったら、アジのお茶漬けがあるって。で5回目ぐらいで、あっこれ「帰れ」って言ってんだって。帰るから、タクシー呼んでくれるか、と。そしたら「呼んであります」と。で行ったら、結構もう3000円ぐらいメーターが。
有吉:いい話じゃねえのかよ。

劇団ひとりの家族とのエピソードは、他にもあったはずじゃないのか。
なのになぜか、奥さんの大沢あかねのことだろうか、何か後味の悪いエピソードをしっかり覚えて、それを話してる。

冷遇された悪いエピソードをしっかり覚えて、それを語っている。
嫌われた、といった被害妄想を抱いてるんじゃないのか。

(7)他人を責めない・怒らない

やりすぎても「1回も怒られたことない」と有吉。
その理由は「いやもう読んでたから。こいつは牛耳るな…」と。

これは本音だろうかか。
だとすれば「将来、出世するだろうから、あんまり叩かないでおこう」と考えていたのか。
いや、そこまで深く考えてというか、根っからの性格で人に怒れないんじゃないのか。
だから単なるリップサービスだった気もする。

人に怒れない人は、ストレスを自分の中に抱えたままになる。
腹立った時は吐き出してストレスを発散させてほしかったな。

(8)沈黙恐怖症・チック症

VTRで、8年前の2013年「腐れ縁芸人」の回で、有吉マジ説教事件が流されていた。

有吉:他事務所の後輩だと、結構若手でも、敬語で話すんですよ。
上島:それはでも、尊敬してるんですよ。そういう人達のことをね。飲みに行ったら「(敬語で)違いますよねー」ってなるんですよね。今言ってる俺がまあ、「違いますよねー」だけどね(笑)
有吉:(渋い表情をする有吉)
上島:(有吉を見て不安に思ったのか)いやちがう…「アアア~!」と絶叫。

「たかりかねた有吉がついに」というテロップ。

有吉:いつからそんな臆病になりました?なんか最近、ずっとそうですけど、ほんとに、5秒でも間があったら急に怖くなって、話なんてそっちのけで、勝手にギャグとか入れてきません?まともに最初から最後まで話したことないんだから。俺もうそれすげーやだわ。
上島:いやそれはね。そうだな。
有吉:今ふざけてんじゃなくて、マジで話してるんですよ。やってみて、最初から最後までやってみて、ダメだった、そしたらみんな動き始めるじゃないですか。なんで話の途中で「なんだこの空気」と思って、変なギャグ入れてきて。話のオチ、聞いた事ないよ最近。
上島:あの~、怖いんだよ!
有吉:だからそれダメだって。
上島:これもダメ!?
・・・
上島:ちょっと俺もう、ドキドキが止まらないよ。

「怖いんだよ!」って発言、これは単なるボケに留まらず、リアルに何か恐れてたんじゃないのか。

101回目のプロポーズ浅野温子が演じる薫が「怖いの」って言ってたよな。
あのドラマでは、薫に襲い掛かったトラウマ的な出来事が描かれてた。

でも会話の流れからすると、沈黙が怖いのか?
沈黙恐怖症については、詳しくは知らない。
このサイトが詳しいかな。

kenyuukan.lolipop.jp沈黙が怖い人は、優しくてサービス精神旺盛だとは思う。
有吉と深い付き合いであるがゆえに、この一連のやり取りで、竜ちゃんの繊細な性格が立ち現れたような気がする。

「相手はどう思っているのだろうか」「不快に思っているだろか」等、他人へ配慮しすぎて、自分の感情の方が擦り減って精神的な慢性疲労の状態のようになっている印象を受けた。

そして振り返りのVTRが終わった後、有吉は次のような話をしていた。

有吉:先輩と友達の微妙な感じで、上島さんのことを思ってるんですよ。すごい親友なような気もするし、すごい尊敬する先輩だとも思ってるんですけど。たまにテレビとかで一緒になって共演すると、僕に何かつっこんだりする時、唇震えるんですよ。それが何か、僕のことどう思ってるのか…寂しいっていうか。

唇が震える、なぜだろうか。土田とデンジャラス安田が補足する。

土田:これは有吉が売れすぎちゃって、ほんとにビビってる。今でもほんと、有吉に怖くて電話できない。
安田:この3人(有吉、土田、劇団ひとり)と飲むときは緊張するけど、「お前がちょうどいい」って言われます。
有吉:全然、連絡くれないっすもん。

3人にビビるってことは、同業者への対抗意識が強くて、身近な人をやたらライバル視してしまっているような感じだな。
唇の震えは、チック症ではないのか。心因性の原因もあるらしいけど。

www.mental-clinic.net

(9)外的刺激の影響によらない興奮

このエピソードも、8年前のエピソード同様に、すごく恐ろしいものを感じた。

有吉:結婚したとき、僕、電話したら。「結婚おめでとう」って言ってくれるって思ったら。

「おおお!ゴハンか~?メシか~?飲みいくか~」(上島)

って。「結婚したんです」って言ったら「そうかそうか」(上島)って。
すげー寂しかったですよ。

上島:ちょうど緊急事態宣言が明けた時だったんですよ。近所でロケか何かやってて、一緒にメシでも食いにいきませんかって誘ってくれてるのかと思って。うれしくて。

「外的刺激の影響によらない興奮」ってのは、このサイトに記載されてる。

nagoyasakae-hidamarikokoro.or.jp専門家じゃないから、具体的な内容は知らない。
だけど、結婚報告をしているのに、その外的刺激と全く関係ない出来事と解釈して、話を展開させるというのは、おかしいよな。


以上、番組を見ながら、上島竜兵を観察してみたけど。

もちろん、死んでしまった後だから。
今更、後付けで理由や根拠を探すような野暮な行為ではある。
だけど、真実が知りたいってのもある。

やっぱり、危険な兆候はあったかもしれない。

他にも、何か気になるエピソードもあった。
有吉が「目を見て話してくれない」と言ったり。
土田が「みんなが飲んでるときに上島さん、奥さんに捨てられて離婚してしまうんじゃないかって。だから有吉に、中野にアパートを建ててもらって、逆トキワ荘みたいな。老いぼれた芸人が集まる最後の拠り所にしよう、みんなで住もうよ、って話してて」とか。そんな話題が出るっていうことは、奥さんに捨てられる強迫観念があったのか。

原因になった犯人捜しをしているわけじゃない。

《上島さんの訃報で、土田さんのラジオでの発言が引金かもとか言ってるやつマジで気持ち悪いな》
《土田が竜兵会は金ができたら顔出さないって言ってたけど、有吉やひとりが行っても上島が払うんだぞ。行きにくいだろう。だからかわりに老後の面倒をみるって本気で言ったり、還暦祝いで高額な時計プレゼントしたりしてるんだし》
《都合のいい時だけ善人ヅラしてアホな正義感振りかざすバカな外野は黙れよ》
《上島さんに関して、有吉が~とか土田が~とかで中傷してる正義マン見てられません》
《土田叩いてる人なんなん。正義の鉄槌?のつもりで自分らも人刺してるよ。自覚ないのか。ただ便乗して叩きたいだけだろうに》
https://nordot.app/897305904541155328?c=724086615123804160

という意見もあるように、上島竜兵と竜兵会、その他芸人や仕事仲間、家庭、人間関係以外の事柄等。
赤の他人である自分には結局のところ、わからないし。
本人にしかわからないことだってあるだろう。

ただ、今回まとめたこの外野の一意見、危険な兆候のリストを糧として、第2・第3の竜ちゃんを生まないような社会になればいいなと思ってる。

また、個人的な印象だが。

優しくて人への気遣いがやたら多くて、ストレスをはっきりと発露したり発散したりできていない。ストレス共有化のルサンチマンが機能していない。

仕事に取り組む意識は高くて真面目なのはいいんだけど、反省が強すぎて「まあいいか」と妥協する精神的余裕がない。物事を抽象化して隠蔽するルサンチマンが機能していない。

向上心が強くて他人と自分を比較するんだけど、自分のライバルや同じ仕事仲間など、身近な一流のライバルの人ばかりと比較して、幸せを実感できていない。自分よりも不幸せな人と比較したり、幸せの閾値を下げるルサンチマンが機能していない。

一流の芸人であるがゆえに、成功者と対極の人が行っているようなルサンチマンが機能していない人のような気がする。

ストレスを緩和して生き長らえるためには、ルサンチマンも大事なんだよな。