逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

独身弱者男性が全集中して編み出した、人間の無意識にあるもの全てを顕在化する技を伝授します。

3塁で生まれた人をディスペクトしてヤングケアラーをリスペクトする

ちょっと前にこのtwitterまとめがはてぶで話題になってた。

[B! 格差] 「生まれと環境が殆ど人生を決めるものです。慶応はそれを教えてくれました。」このTwitter小説に大学内の格差が詰まっていた件

頑張って受験戦争に勝ち、岡山県から慶應大学に入学した男が受けた疎外感とか報われない感を描いた内容になっている。
読んでみたけどなんか、クマっしーとかいうのは何か、田舎に対してコンプレックスが強いのかな。
地元の岡山での過去を「アレを切り捨てる」と言い、指定校AOのボンボン慶應ボーイが、インターコンチネンタルの最上階で彼女にCHANELのアクセサリーを渡して行為に至ることを"東京ドリーム"と、羨望の眼差しで捉えてる。

そして昨日と今日、「生まれと環境が殆ど人生を決める」話題について、こんな記事も話題になっていた。

b.hatena.ne.jpb.hatena.ne.jpしかし、生まれと環境が殆ど人生を決めるってのは、まあ事実としてあるんだけど、"ほとんど"ってのは言い過ぎなような気もする。
それを覆した有名人はいるだろうよ。

例えば、矢沢永吉所英男、仮屋崎省吾とか、叩き上げの成功者として有名よ。
他にも肉体的、精神的、経済的ハンディキャップを背負いながら、偉大な人物に成り上がった人間は、いるだろう。
地方で名を挙げ、全国的に成功したアーティストとかもいる。

「SHINGO★西成 × 西成(大阪府)」──ドヤ街のリアルをストレートにうたい続ける遅咲きラッパー|ブックス & ミュージック & アート(本・書評)|GQ JAPAN

「BAD HOP × 川崎(神奈川県)」──京浜工業地帯が生んだ、元不良ヒップホップ・クルー|ブックス & ミュージック & アート(本・書評)|GQ JAPAN

「田我流 × 一宮(山梨県)」──山梨の盆地から、生きるとは何かを問いかける男|ブックス & ミュージック & アート(本・書評)|GQ JAPAN

の記事とかでも紹介されてる。

特に俺が好きなのは安藤忠雄だ。
この人は大学に出てねえのに、なぜかボクサーとかを経て、独学で建築学を学んで、世界的な建築家になった。
このインタビューとかほんと、しびれたなー。

news.yahoo.co.jp別に慶應の内部生でない、東京以外の地方出身者でも、大手企業とか外資系に勤めて高給取りになってタワマン買えてるやつもいる。

先に挙げた有名人とかの成功者ではなくても、慶應出てなくても、そういう成功者とか高所得者とか、おそらく一定数はいる。
俺の知り合いでさえ、いるんだからな。
地方出身者で、不動産の世界で頑張って転職を繰り返して年収2000万プレーヤーになったやつとか、大企業に入って会社の金で留学させてもらってるエリートとかな。

だから正直、上記に紹介したこの慶應の物語から「生まれと環境が殆ど人生を決める」ってのは、無理な一般化だな。
妙にリアリティのある固有名詞とか使ったり、指定校AOの武勇伝と地方出身者の自分の失敗談のコントラストを際立たせたりして、真実味を出してるけどな。
リアリティはあるけど、決して一般化できるリアルではないし、リアルだとしても部分的で限定的な出来事だ。

結局は個々人のバイタリティとか行動力とか、どのように経験やキャリアを積んでいくかとかの戦略と実践に起因するんだよ。
それが足りなかったり、フラフラして生きてると、早稲田大学を卒業してもノースキルで低所得に至ったオッサンもいるから受験に失敗しても悩んだり思い詰めるなという話でも話したけど、俺みたいに年収300万円前後の下流社会の住人が住む階層に堕ちていくんだな。

だから受験生とか学生が、上記のtwitterまとめの慶應物語を読んでも、別に悲観する必要とかはないのよ。

もちろん格差はある。
だけどそれを覆した人もいるんだから、あまり悲嘆するなと。

それでも、アドバンテージを持ったやつへのやっかみ、ルサンチマンは、俺はいくらでも書ける。
以下、敢えてカッコ悪いことを言おう。

親が金持ちで、教育に金をかけることができる育ちのいい人々のことを「Born With A Silver Spoon」って言ったり、「三塁で生まれた人(born on third base)」と言ったりするらしい。

togetter.com正直、慶應物語のまとめに出てきたAO指定校のやつら、読んでるだけで腹立ってくるよな。
本当にこんなやつら、いるのか?どうなのか?って思ったりもしたけど。
俺はこういう人々は認めてない、リスペクトしていない。

政治家の息子がまた政治家になるように、哲学者プラトンやお釈迦様は名家で金持ちの生まれのように。
“成功者”という組織体を構成する一要因として“経済力”があるのは間違いない。
「生まれと環境が殆ど人生を決める」とは言わないが、

すべては才能なのである。顔やからだの美醜、生まれ、育ち、それらも才能の一部だ。才能はほとんど運命と同義語だと言ってもいい。(村上龍

という作家がいるようにな。
才能ってのは、運命のことなんだよ。

「育ち」と「成功者(高所得者)」の相関関係があるってのは事実だろうな。
よく東大の合格者の家庭の年収を調べたら結構、平均よりも高い世帯が多いみたいなデータあるだろ。
昨日や今日バズってた「「合格歴競争」格差を再生産 難関突破、親の経済力次第」「「親ガチャ」データで裏付け 貧困層の子「授業わからない」3倍超、進路「中高まで」4倍超:東京新聞 TOKYO Web」って記事もそうだ。

だからそういう、上のtwitterまとめであったAO指定校のやつらや、3塁で生まれたやつらは、上から目線で物を言ったらダメなんだよ。
もちろん個々人の努力もあるだろうが、Born with a silver spoon(銀のスプーンをくわえながら生まれた=十分なカネ、コネ等をもって生まれた)のアドバンテージがあるゆえ、AO指定校のやつらは親から教育にコストをかけさせてもらえたし、大学に行ける確率も上げてもらった。

例えば、五人兄弟を養う母子家庭で育った長男や長女はどうだ?
ACジャパンの広告にあったように、小学生とか10代そこらで家事とか育児とか親の介護を迫られるヤングケアラーはどうだ?

勉強する時間なんて、まともに取れねえよ。

働いて家族を養わせてあげたり、介護したり、自分のことに時間を使えないんだよ。
自分のことに時間を使えることを「感謝する」という意識が欠けてるやつは、確かにいる。
だからそういうやつがいたら俺は、ガツンと説教したくなる。
自分の運命や、育ち、生まれ持った家庭内インフラが前提にあるからこそ成功できたということを「自覚」して、謙虚に振る舞わんかいと。
これが金持ちとして生まれ、成功した人が備えるべき品格、ノブレス・オブリージュなんだよ。

だから社会に大きな影響を与えている知識人、文化人、芸能人、大学教授、タワマン住んでるやつ、偉そうにするんじゃねえぞ。
銀のスプーンを咥えた七光り野郎なんだからな。
大人でも自覚してないやついるからな、ほんと。

若者で自覚していない傲岸不遜な輩、「僕は、私は、頑張った。東大に入れたんだから」「俺は慶應ボーイ、うぇーい!」みたいなの。

恵まれたインフラに感謝できてねえ輩達に、上野千鶴子は東大スピーチで釘を刺した。

b.hatena.ne.jpを書いた増田は、Born With A Silver Spoonのやつらは謙虚にならずに高慢であってほしいと言ってるけどな。

高慢でいるやつが謙虚になって憐れむと、低学歴低所得の人間の立つ瀬はなくなるか?
そんなことはねえ。
学歴マウント、年収マウントで馬鹿にするやつは減るだろうし、自慢してくるやつも減ってくれると思う。
だが謙虚になるぐらいじゃあ、物足りない気がする。
ディスペクトしてもっと社会的認知を拡大させねえと。

就活の時に「この子は私立に行けるぐらいお金持ち育ちの家庭なのですね、ということはBorn With A Silver Spoonの可能性が高いですね(キラーン)」と、人事や面接官がメガネをクイっとさせながら、マイナスのスタートをさせるぐらいの勢いがないと、ダメだ。

もちろん、ディスペクトが差別とかヘイト・スピーチにつながるのはいけない。

俺個人の意見だが、表に出ない、無言の社会的認知として社会的強者への差別が広がることで、社会的弱者に対する差別と拮抗し、結果的にお互いを尊重するようになって差別が無くなることが望ましい。

表に出たとしても、ヒップホップとか、俺のサイトみたいな、ライトで爽やかな草の根の声みたいな。
例えばGWに偶然、「ストーブリーグ [ ナムグン・ミン ]」という韓国ドラマが放送されていて視聴したが。
第5話ぐらいで、兵役を免除された野球選手がディスペクトされていた。

俺にとって3塁生まれは、韓国における兵役免除に似ている気もする。
3塁で生まれたやつらは「平均的に果たすべき苦労から免除されている」「強制的に訪れる苦労から免除されている」という点で特権的で、下駄を履いている。

つまり東大生とか慶大生は、極論かもしれないがほぼ全員「謙虚ライオン!」(小林敬って言葉を胸に刻み込めって話だ。

そういうのでよ、もっとお互いを尊重するムーヴメントを起こしていきたいね、ほんとに。